5-ALAとは

ALAとは

ALAは広く自然界に分布する天然のアミノ酸です。たんぱく質を構成するアミノ酸ではなく、植物においてはクロロフィル、そして我々の体ではヘムの構成成分として利用される化合物です。
人体で使われるエネルギー=ATPの90%以上がミトコンドリアにおける内呼吸で作られます。内呼吸はTCAサイクルとこれに連動する電子伝達系で構成されていますが、最も重要なのは内呼吸において酸素を使う唯一の反応主体である「複合体IV」です。ALAはミトコンドリアの内呼吸に不可欠な成分で、複合体IVの反応中心はALAが代謝された2分子のヘムで構成されています。

ALAの基礎研究

加齢に伴い体内におけるALA生合成および電子伝達系の複合体IV活性が低下し、ALAの経口摂取により複合体IV活性、およびATP生産量が上昇することが報告されています。

食品としてのALAとその実用性

ALAは醤油、酢、日本酒、赤ワインなどの発酵食品など多くの食品の中にも含まれていますが、その量はごく微量です。日本人は1日に0.05-2mgほどのALAを摂り続けてきたとも言われています。従来ALAは化学合成法により製造されていましたが、長い研究期間を経て、酒・しょう油を作るのと同じ光合成細菌という微生物を使った発酵法によってALAを製造することに成功しました。

ALAの主なエビデンス

血糖値

ALA配合サプリメントの摂取により境界型糖尿病の血糖値の改善が確認されました。また、糖尿病改善薬を使用している2型糖尿病患者におけるALA投与の安全性、およびHbA1Cと空腹時・食後血糖値の改善が確認されました。

高齢者運動機能

ALA配合サプリメントの摂取により段階的サイクリング負荷試験中の酸素消費量と二酸化炭素排出量、血漿中乳酸値がいずれも有意に減少しました。また、摂取期間中の自己トレーニング日数、自己トレーニング強度と時間が増加しました。以上の結果より、ALAは運動効率を上昇させ、高齢女性のトレーニング成績を改善することが示されました。

睡眠の質

ALA配合サプリメントの摂取により睡眠の質の指標となるPIRS-20スコアが統計的に有意に改善し、摂取終了後はスコアが再び悪化する傾向がみられました。

肌の水分量・弾力性

ALA配合クリームとサプリメントの10日間の併用で、皮膚の水分量、弾力性がともに増加しました。ALAの細胞実験では細胞増殖率コラーゲンとヒアルロン酸産生量が増加しました。


疲労感

プラセボ群と比較して、ALA配合サプリメント摂取群では、「仕事による疲労感」及び「怒り- 敵意」の項目で、有意減化が認められた。

肌の水分量・弾力性(経口摂取)

5-ALA配合サプリメントの摂取により、乾燥肌を気にする中高年女性の頬及び前腕屈側部の角質水分量、肌弾性が有意に改善することが確認されました。


がん細胞のアポトーシス(細胞死)
促進効果

がん細胞は、正常の細胞とは異なり、ミトコンドリアを活用したATP産生は行わず、解糖系を利用してATP産生を行っていることが知られています(ワールブルク効果)。
ヒト肺がん細胞( A-549細胞)を用いた細胞試験において、がん細胞に5-ALA添加を行うことで、ミトコンドリア機能が活性化し、代謝が促進されることで、アポトーシスが誘導されて、細胞死が起こることが確認されました。

加齢男性性腺機能低下症候群
(LOH症候群)

5-ALAの8週間摂取により、LOH症状の改善に有用性がみられました。
5-ALA8週間の経口摂取によってトータルAMS(Aging Male Symptom score)スコアが顕著に改善し、AMSのサブスコアにおいても改善傾向がありました。
試験期間中、主だった有害事象もみられませんでした。

運動能力、筋肉繊維老化及び
寿命の変化(経口投与)

本研究では5-ALA摂取によりミトコンドリア保守機構の破綻が抑制され筋肉組織の機能が維持される事、さらに加齢に伴う運動能力低下の緩和と、寿命の延伸についても確認されました。
これにより、5-ALAによる抗老化効果のメカニズムの一端が明らかになると同時に、ヒトにおいても運動能力の低下をはじめとした加齢に伴う諸症状を5-ALAが緩和できる可能性が示唆されました。

新型コロナウイルスに
対する感染抑制効果

培養細胞において、SARS-CoV-2ウイルスのオリジナル株及びアルファ変異株、ベータ変異株、ガンマ変異株、デルタ変異株に対する感染抑制効果がある事が確認されました。

培養細胞において 、SARS-CoV-2ウイルスのオミクロン株への感染抑制及び濃度依存的な抗ウイルス効果を示しました。

SARS-CoV-2オミクロン変異体に対するレムデシビル、
5-ALAおよび5ALAとSFCの抗ウイルス効果

SARS-CoV-2オミクロン変異体に対する5-ALA、
5-ALAとSFCのIC50およびCC50値

5-ALA のミトコンドリア糖尿病に
対する耐糖能への改善効果

ミトコンドリアの ATP 産生障害によるインスリン分泌障害を特徴とするミトコンドリア糖尿病(MIDD)患者への5-ALA投与による耐糖能の改善効果を確認し、 MIDD に対する新規かつ有効な補助的治療法になりうる可能性が示唆された。

論文情報

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